見えてくる構造梁材 和歌山の家

前にも少し触れましたが、
和歌山の家の構造材でガレージ・玄関の軒桁として見えてくる梁材があるのですが、

ガレージの間口が広いことで強度的に重要であり、見た目的にもガレージ・玄関の入口になるメインどころの梁なので、ある程度のキレイなものを入れたい。
上小節(節が小さく少ない)材となると少々コストもかかるので、並材でそこそこキレイなものを選んでほしい。
とちょっと困らせがちな注文をしました。

構造計算の結果、その梁材にはヤング率E110必要。
桧材全体の50%くらいがE110みたいなので、通常杉を使うのですが、杉だと難しいので桧でチョイス。
7mと長い材で、通常ストックしてない材のため、探して製材してもらいました。
その時のブログ
びっくりするくらいのキレイな材を選んでくれました。
ここで終わりではないんですよ。
ここから構造材として乾燥機にかけて木が動かないように安定した材にする必要があるんです。

乾燥機で木の水分を抜いた材は多少曲がったり反ったりしていて、削りなおして必要寸法にもっていくのですが・・・

ここで、虫食いが出ちゃいました。

虫食いは、カミキリムシが木の枯れ枝に産卵し、そこからふ化した幼虫が枝から樹幹に侵入しムシャムシャと食べた跡なんです。
虫が今なおいるわけでもなく虫食いが進行するわけでもないです。
強度的なことですが、実験資料を見てみると、
食べた跡と建全部とでは食べた跡のところの方がめり込み強度は高いというデーターもありました。

食べた跡の近くにはおそらく節がありそのため節がないところよりもめり込み強度があがるってことみたいです。

結果、見た目だけのことかなと。
もともと、一等材(節がそれなりにあるもの)の指定だったし、全体的にとてもキレイな材

そもそも木には枝があるので、材としても節(枝の跡)や虫食いがあってしかるべきで、
今回のように乾燥前乾燥後の一センチ未満の間のスライス製材で節の有無がでてくる紙一重のことなんです。

どこに枝が潜んでいるか製材しながらヒヤヒヤしながらするみたいです。

この製材過程を見ると構造材としての強度と見た目の美しさを得るにはとても手間暇かけてることがわかり、この材にとても愛着がわいてきました。

この虫食いの部分は埋め木をしてもらいました。

あんまり目立ちませんね。トータルでとてもキレイな材です。

あと、反対側の面も見せてもらいました。こっちの面の方が節が多いかな。

両面を見せてもらったうえで、どちらの面をメインどころに持っていくか決めるのですが、
埋め木してもらった面は埋め木位置も玄関から外れているのとトータルできれいなので、こちらをメインとすることを決めました。

現場に入った木材は木というよりももう材になっているので、木から材ができていてることを忘れてしまいますが、
過程を見ると、こういった製材の影の攻防があり、キレイな材が現場に入っているのだなと認識します。

たかが節されど節。
各職人さんが丁寧にこだわりを持つことで、キレイな木の家ができていくんです。

こういった所が木の家の面白さかな。