Profile

Profile 水谷賀一(Yoshikazu Mizutani)

1974年兵庫県西宮市に生まれる。
龍谷大学理工学部を卒業後、アトリエ事務所に就職。その後、国産材を用いた住宅を手がける設計事務所に勤務。

設計者として主に、木や土といった素材を生かした家づくりに取り組んできた。

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機械工学をこころざし、大学で学んでいた自分が、なぜ今建築の世界で仕事をしているのか・・・そのきっかけは、阪神淡路大震災にありました。

激震地だった西宮という地で被災し、自分にできることがあればと被災地をまわる中で、悲惨な被害状況を目の当たりにしました。多くの人の人生を奪った倒壊住宅、危険極まりない傾いた住宅での生活、ライフラインを失った劣悪な環境・・・この経験が、自分の人生を方向づけました。

住宅建築の重要性と責任の重さを痛感し、「人の命を守る」という使命をもった建築の世界で、身近な人達の安全を守るために役立ちたいと、予定していた就職を取りやめ、建築の世界への第一歩を踏み出しました。あれから10年以上になりますが、当時の想いが変わることはありません。

これまで、いくつもの家づくりに関わらせて頂きましたが、住まい手の家づくりに対する希望を、「家」という一つの形へと導くことの難しさと責任の重さに戸惑うこともありました。でも、住まい手とじっくり関わり、最大限の可能性を探り、苦労してつくる家だからこそ味わえる、完成時の達成感と、住まい手の笑顔に支えられてきたように思います。

また、家づくりの現場では、職人さんの手仕事の繊細さを肌で感じ、共に一つのものをつくり上げていく喜びを知り、職人さんの声を設計に生かすことの大切さを学びました。設計者としての自分にできることは、大工や左官といった実際に家づくりにたずさわる職人さんの技をどう引き出し、素材そのものをどう生かしきれるか…それを追求していくことだと考えています。

一つ一つの素材が輝き、一人一人が輝いてこそ、住まい手に満足して頂ける家づくりができるのだと思います。

願わくば、それぞれの地域の、それぞれの町並みに、少し華を添えることができるような家づくりのお手伝いができればと思っています。