舞多聞の家 引き渡しでした

先日、舞多聞の家お引き渡しでした。

器具の説明やメンテナンスなどの説明を工務店さんからして頂き、その後お母様がお食事を作ってくださいました。
工事途中の現場打ちあわせ時には昼食をいつも作って持ってきてくれました。
おそらく前の晩おそくか朝早くに作ってくれていたことだと思います。
設計の打ち合わせ時も昼になるとごちそうして頂き、いつもお母様がさりげなく食事を振る舞ってくださいました。
とてもありがたいことだと思います。

今回とても長い道のりだったなと思います。
昔ながらの和が好きなお母様、昔ながらの和では少し古臭いと感じる今の世代の若いご夫婦。
まとめるのが大変だろうけどやりがいがあるなと最初に感じました。

というのも、家づくりにおいても和の引き継ぎというか昔ながらの和と今をどう繋ぎ結び付け引き継いでいくのかが見えてくるよな気がして、私にとってもテーマの一つかなと感じました。

当然打ち合わせははっちゃかめっちゃか。
あらゆる方向からくるご意見にどうまとめていくのか・・・
すべての意見を聞くと矛盾が起こるし、それぞれの個の表現を各部屋に取り入れると、家の中でいろんな世界にいるような全く統一感のないまとまりのない空間になってしまう・・・

これはやばいなと正直感じました。
ある程度は取り入れながらも全体的な統一感を計りながら私が思うお施主様像を掲げながらで進めていくようにしました。
不満に思うこともあったかと思うのですが・・・

設計者として、お施主様の意見を反映することは当然のことなのですが、経験値からわかる違った方向へ進むことへの軌道修正をするのも重要なことかなと思います。

お母様の二間の空間はさお縁天井、壁は土壁の中塗り仕上げとし、共用のLDKは今どきの塗り壁「薩摩中霧島壁」としましたが、つながりを考慮し、できるだけ中塗りと似た色になるようにしました。
お母様の部屋から共用のLDK通り道の縁の天井は昔の和の印象が強い棹縁天井とせず、ちょっと和らげた赤身の杉の板としました。
部屋へのつながりのスペースは趣を緩和させるスペースとなりました。
中庭の有無は最後まで意見が別れましたが、2つの玄関へのアプローチ、LDKからの眺め、お母様側の縁からの眺め、LDKの一角にある一段上がった小上がり畳からの眺め、それぞれ違った表情を楽しめる空間になったと思います。
今回なかなかいい経験をさせて頂いたと思います。
時より世代間の違いがでて、色んな方向に進みまだ戻りの繰り返しでしたが、それぞれ皆様が自己ではなく、人を想い歩み寄る様がとても美しく思いました。
その結果として、皆さまがほどよく完成を喜べたのかなと思います。

常日頃思うことなのですが、
誰がどう、どの意見、どの主張が正しいかなどは問題ではなく、皆様がほどよく楽しくいれるようにどうしたらいいかのほうが重要な気がします。
正論の価値観はみな違うのですから。

なんてちょっと語ってしまい本題からそれましたが・・・

お母様、息子さん、奥様、お子様それぞれ生活し接していく中で、色んなことがあると思います。
ある時は遠くに、ある時は近くになど中庭を通して程よい距離感を保つことができる住まいになっています。
皆が立ち寄れる心地良い家になればいいなと思います。

施主様、工務店様と皆と足並みをそろえながら程よくまとまったかなと思います。
力足らずで不満な点もあるかと思いますが、私なりに今できることはしたかなと思います。

ですので、いいところを見て頂いて、今後とも季節の変わり目にお施主様のとこへいき一緒に住まいの変化を楽しめたらいいなと思います。
毎回ですがとても貴重な体験をさせて頂き、ほんの少しですが成長できたかなと思います。

ありがとうございます。