昔、家づくりの現場で作業しているときに、いろんな職人さんの仕事をじっと見ていました。
かっこいいなと思った部分は、家が完成して、隠れて見えなくなるところ程、すごく丁寧に繊細に仕事をしているところです。
職人さんに「みえなくなるのだから、見栄えは気にしなくてもいいんじゃないですか?」と聞くと、
「見栄えを良くするしないとかではなく、家というのは、何十年も住むところなので、手を剥くとそこから、劣化してしまう。
見えるところは、悪くなるとすぐにわかるから、取り替えることできるが、隠れてしまうところは、すぐには替えれない。だから見えないところには慎重に仕事しないといけないんやで。
これは人生においても同じやぞ。」
と話してくれました。
多くの人に認められようと思えば、見えやすいところのほうがわかりやすいのですが、認められる認められないということではなく、家に住む人のことだけを思い造っているのでしょう。
写真は昔家づくりには欠かせなかった土壁の下地で竹小舞といって、土を塗るための下地で、仕上がると完全に見えなくなります。
格子状に編まれた竹は綺麗に並んでおり、美しいです。
思わず見とれてしまいます。こんな綺麗で繊細なものが見えなくなるんですよ。
人はみな美しいものに魅かれます。
私は、表よりも中の美に魅かれます。
なぜなら長く楽しくいれるのだから。