気に入ったものだけで暮らす

家は小さい方がいい。
それぞれの家族構成や生活習慣の違いで大きさは異なりますが、余裕を見て建てるよりも、少し無理があるかなぐらいのスペースでいいように思います。
大きさに比例してイニシャルコスト(建てる際のコスト)も上がるし、その後のランニングコスト(メンテナンス)も重く圧し掛かってきます。
また、掃除も面倒だし、温熱環境も小さい方が保ちやすい。

大きくし余のスペースを増やしても、ものであふれかえってしまうのがおち。

限られたスペースの中で、ほんとに気に入ったものを置く。
こういう暮らし方が一番豊かであると年齢を重ねるたびに思います。

私において、昔から服が好きで、若い頃はいろいろと買いそろえたものです。
掃きもしない靴、着もしない服など数を揃えることで満足で、結局めんどくさがりで、どこに何あるかも把握できてなかったので、着やすい同じものばかり身につけていたと思います。

今少し年齢を重ねると、あまり物欲もなく、服においては夏は通気性のいいもの、冬はとにかく暖かいものなど、とにかく着やすいもの。
デザインでいえば、シンプルなものを選ぶようになっています。
数よりも自分の身の丈にあった好きな色合い・形・着心地のいいものだけ。

数を多く買うよりも、一生ものを一点買う。
気に入った器、グラス、家具、照明、服、家電
掘り下げれば、木や鉄、土などの素材も。

やはり人が丹精込めて作った美しいものは何かと心が安らぎます。
私の設計においても引き算が多くなってきています。
引き算をしながらも、部屋の空間を可変できる観葉植物や陶器などの置けるニッチなどを小スペースでさりげなく作るようにしています。

緑や自分の好みのものを見ることはリラックス効果があると科学的にも証明されているように、それぞれのご家族が落ち着けるような家にしたいと思っています。
そのためにも、お施主さんとじっくり話し合って、好きなものに合う器(家)を設計したいと思っています。