真夏の屋根からの日射に注意せよ!

先日拝見したお家のことなのですが、
昼13:00、外気温30度でかなり蒸し暑く、2階に上がると明らかに暑い。
2階の勾配天井の屋根からの熱が輻射されているのが、肌で感じ取れるくらいでした。

真夏の屋根の表面温度は70度くらいまで上がりますので、その熱がそのまま室内に入り込むと、とんでもない室温になってしまいます。
昔の家は屋根や、天井に断熱材が入ってない場合が多いので、同じように真夏に2階にいることさえできない状況になっているところ多いと思います。

床、壁の断熱も当然必要ですが、真夏に70度にもなる屋根の日射からくる熱を断熱することは非常に重要なことです。

このお家にはエアコンが点いていましたが、屋根どんどん入ってくる輻射熱が強すぎてエアコンではまかないきれなくなっていました。

エアコンの設定温度もみてびっくり19度ですよ。
エアコンの涼しさを感じれるのはクーラから50センチ〜1mくらいの強風状態の風を起こしているところだけ。

ではなぜこんなことになっているのか?
3つあります。

勾配天井なので、屋根断熱なのですが、
まずは、断熱材の性能が低い
聞いてみると、ポリスチレンフォームの1種50mm

ポリスチレンフォームの代表的なスタイロの表をみると分かると思います。
bussei
1種よりも3種のほうが熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が低いですよね。
熱伝導抵抗(断熱材)が高い、3種を使いたいところです。
netsuteiko
厚み。
式のとおり、断熱材の厚みは熱抵抗に比例するので、厚さを増せば増すほど熱抵抗は大きくなり断熱性があがります。
ですので、厚さをある程度厚くする必要があります。

屋根は外観の意匠にも関わってきて、できるだけすっきり見せたいので、あまり厚い断熱材を使いたくないんです。
その場合は、断熱性能の高い素材と厚さを考えて、熱抵抗の数値を出してバランスの良いところを見つけるいいです。

2つめは換気
屋根の表面温度が70度にもなると、室温との差が50度もあるので、断熱材だけではまかないきれません。
そのため、断熱材以外にも対策が必要です。

熱い空気を室内に入れないように熱を逃がしてあげる工夫が必要です。
勾配天井の外張り断熱の場合は断熱材の上に空気層を設けて屋根の熱を換気させてあげるのです。
熱い熱は上へ上へと流れていきますので、棟のあたりで換気口を設けて熱を放出させるのです。
天井断熱の場合は小屋裏を換気させて熱を逃がしてあげる必要があります。

3つ目は屋根の素材
外観の意匠性も関係しますが、熱反射しやすい仕上げ材を使うのが効果的です。
色で言うと黒よりも白、白よりもシルバーといったところです。

素材で言えば、瓦は熱容量が大きいので、熱を蓄えてしまい、夜になっても熱が逃げないので、素材自体に放熱効果のあるガルバリウム鋼板が好ましいです。

素材や色の選択は断熱材と比べると効果は微小なので、意匠を優先してもいいかもしれませんが、それもバランスです。

先ほどの言いましたが、夏のエアコンの設定温度は28度が基準で、1度違うだけで10%節電になります。
エアコンで室内を冷やし、外気からの熱を遮熱し、エアコンで冷やされた冷気を逃がさない。
こうすれば28度で充分で、それでも熱いときは、エアコンの風を下向きにして、冷たい空気を熱い空気の下にもぐらせ、扇風機をまわして風を起こさせ全体に行き渡らせるといいです。

光熱費は家の性能によってかなり差が出てきます。
トータルコストを考えると、家を計画する際は断熱材はケチらずにいいもの使うようにしましょう。
すぐにペイはできます。