ゆらぎのある家づくり

家づくりを考えるとき、
私はどうも「整いすぎたもの」が苦手で…

黒よりはグレー、白よりはアイボリー、真円よりは楕円。
どこか曖昧で、ほんのり崩れた感じに心惹かれてしまいます。

それはきっと、庭師さんが雑木の庭をつくる感覚に近いのかもしれないです。
一本一本の木が勝手きままに伸びているようで、でも全体としては心地よく調和している。

人の手で整え過ぎず、あえて自然に近い形で選んでいく。
その中にこそ安心できる場所があるように思います。

設計のときに、きっちりと揃えたうえで、あえて崩してゆらぎを足すようにしています。
写真で見えるように、シンメトリーで組んだ構造を少しずらしたり、一本一本の木目や色の違いが表情をつくり、整然としすぎない温かさを与えてくれます。

暮らしてみると、その小さな「不揃い」が思った以上に心地いいのです。
朝の光が窓の端からすっと差し込み、時間によって影の形が変わる。
ダイニングテーブルやソファーの座る場所によって見える景色が少しずつ違う。
また、季節によっても変化する。

そんな微妙な揺らぎが、毎日の暮らしにリズムを生んでくれます。

自然の中に身を置くと、葉のざわめきや木漏れ日の揺れに癒されるのは、きっとそのゆらぎがあるからだと思います。

住まいの中にもその感覚を取り入れることが、落ち着ける空間づくりにつながるのだと思います。