色んなかたに25坪の家を見ていただきました。
私の狙った通りに裏切ることができました。
「25坪の家と聞いておそらく予算上しかたなく、小さくしたのだろう」
「どこか圧迫感があり、不自由するところがあるだろう」
と思って見学に来たに違いありません。
なんでも「大は小を兼ねる」のことわざがあるように、小さいものより大きいもののほうが使い道が広く役に立つというのが一般的な考えだと思います。
私もおそらく、家を設計をしてなかったら広い家がいいと思っていたでしょう。
「予算に限りがなくふんだんに使える」
「部屋の掃除もお手伝いさんがしてくれる」
「家を建ててもなお維持費をかけれるだけの充分な蓄えがある」
「冷暖房費などの維持費も高くなってもそんなに気にしない」
「将来子供が巣立っても使わない部屋があっても問題ない」
「ものが溢れてる家でもいい」
というのであれば大きい家がいいと思いますが・・・
おそらくそんな方はいらっしゃらないと思います。
イニシャルコストもランニングコストも家で一番お金がかかるのは大きさです。
当然ですよね。
基礎、床、内壁、外壁、天井、屋根、配管すべては面積に依存し、○○㎡×単価=金額になるので、
大きくなればなるほど、金額はかさみます。
新築を計画する際によく見る光景ですが、平面図をみながら間取りの打ち合わせをしていると、ひとうひとつの部屋それぞれできるだけ大きいスペースが欲しくなり、また収納も大きく、客間も・・・でれば畳でくつろげるスペースも。
となり、結局全体の面積が想像していたよりも大きくなります。
そうなれば、予算に限りがある以上、部屋に使う素材には無機質で安価な工業製品を使わざる終えず、結局どの空間も曖昧な空間で、極端に言えばただの箱になってしまいます。
また、掃除やメンテナンスがかからないように、「汚れない素材」「掃除しなくてもいい素材」を意識して体に悪い新建材を選ぶことにもなりかねません。
この悪循環はとてもよくある話です。
そのことが分かっている方も多いと思いますが、
なぜ、大きい家にしたくなるのか?
少し考えたいと思います。
おそらく、ひとつは、平面の間取りの大きさでしか空間を考えられないからだと思います。固定概念が結構大きいのだと思います。
みなさんが間取りを考えるとすると、寝室は最低8帖、LDKは20帖、トイレ1帖などそれぞれ単体の部屋を並べて決め付けていると思います。
ではなぜ、10帖いるのか?
部屋をどのように使いたいのか?
部屋には何を置くのか?
このように掘り下げて考えると固定概念をなくすことはでき、効率は良く大きさを決めることができます。
また、空間って面白くて、二次元ではなく、立体な上に、明るさ、風、視覚、心理などあらゆる要素が絡み合うものなのです。
ですので、平面だけで決めてしまうと自ずと大きさに依存してしまうのです。
これらができるといますぐ建築士になれちゃいますよね。
大きさにとらわれてしまう二つ目の原因は今の生活でものが溢れかえっていて収納スペースが少ないと考えていることです。
新築を計画する際に、お客さんのご自宅で打ち合わせする機会があるのですが、なんとなくそこで仰ることがなんとなくわかることがあります。
整頓がきちんとされていて、ものをあまり持たない方は収納の大きさはあんまり気にしませんが、収納する場所や細々した収納するスペースをご要求されます。
また奥行、細かい棚などはかなり意識されてます。
ものが溢れかえっている方は大きさに依存されます。
押し込める納戸が欲しいとざっくりしたご要求されます。
また面白いことに、部屋の大きくしたいと仰るのもこの手の方がほとんどです。
おそらくものなどのスペースで部屋が埋め尽くされているのでしょう。
一つ目と同じでどこに何を置いてということがなく、漠然としているのでどんどんスペースを埋め尽くされてしまっているのです。
家が倉庫になってはとても勿体無い話です。
整理整頓できない方やものを捨てられない方は新築を機に思い切ってすべて捨ててもいいかもしれません。
私の場合、整理整頓できないので、あまりものは持たないように意識してます。
三つ目はもしも・・・
もしも両親や従兄弟、友人が泊まりにきたら、
もしも近所の方が遊びにきたら
もしも夜にトイレにいきたくなったら
もしも車がもう一台増えたら
このもしものために部屋やスペースを設けるのは勿体ないと思います。
先ほど話したとおりに、自分たちが生活する空間が満足できるものが出来た上で、そのスペースを設けるのであればいいのですが・・・
普段はあかずの間になっている。じつに勿体無い。
みなさん、今住んでいるマンションに客間あります?
では逆に、
もしも子供が巣立って部屋があまったら?
客間で8帖の部屋で 50万/坪×4坪=200万円かかるとしたら?
客間など部屋をもう一つ作ることによって、自分たちが生活するリビングの日当たりや風通しが悪くなったら?
みなさんには
広さ(面積)=ゆとりという固定概念を捨てて欲しいなと思います。
全てのスペースを有効に、効率よく使って欲しいと思います。
何をどれだけの量どこに収納するのか?
今の生活で不必要なものはないか?
どのような暮らしにしたいのか?
などを少し考えてくださればと思います。
自分たちが暮らしたいことなどを私に伝えることに専念してほしいなと思います。
小さな家で、圧迫感がなく居心地の良い空間にするには当然設計の工夫が必要になってきます。
使えるスペースを最大限を有効に使い、豊かな空間で暮らしたいと願う方のお手伝いができればいいなと思っています。
長くなりそうなので、次回25坪の家を例に小さい家で居心地の良い空間にするための設計工夫をお伝えしたいと思います。