余裕の空間があればあるほどいい家になる。

家を考えるにあたって、赴くままに進めていくと、これもあれも余裕が欲しく、自ずと面積が増えていきます。

収納できるスペースが多く欲しい。
玄関が広くしたい。
寝室は最低8畳欲しい
客間が欲しい
トイレが2個欲しい。
洗濯スペースを広くとりたい
浴室を広くしたい


などなど。

最初の段階では、あくまでもご要望なので、それでいいかなと思います。

しかし、家の大きさは土地や予算に限りがある以上当然のように面積は限られてきます。
決まった面積において、何かに余裕を設ければ、当然何かは狭くなります。

多少それぞれが満たされるのであれば、大きくなってもいいと思うかもしれませんが、面積を大きくすることは、別のデメリットも多いです。

そのデメリットを全部並べるとたいへんなので、別の機会に詳しくお話しますが、
わかりやすいデメリットとして今住んでるところの倍の面積の家に住んだとすると、掃除にかかる労力は倍になると想像すれば、
ぞっとすると思います。(使わなくても汚れますから)
本末転倒になってしまいます。

賢明に進めるにあたって自分たちの価値観を理解しまとめることが必須になってくると思います。

ここがお客さんにとって一番重要なことかなと思っていて、それを判断し心苦しいけど削っていくのが設計のプランをする一歩目だと私は思っています。

「トイレ2個要りますか?」
「子供室小さくてもいいですか?」
「寝室は寝るだけですか?」
「年に何回人が泊まりに来ますか?」
「玄関で何しますか?」
など、要望書に要ると書いているのに、再度聞くのはちょっと感じ悪いかもしれませんが、

実はそれは聞きとることによってホントに必要な空間かどうか優先順位は高いのかを確かめてます。

トイレが近く、トイレは2つできれば欲しい・・・
寝室が二階なので深夜に子供をトイレに一階まで連れていくのはつらい。
アウトドアが趣味なので外で使うものを置く土間収納が欲しい。

話を聞けば色々と事情が聞き取ることができ、優先順位も理解できてきます。

何を優先するのか・・・
決まった面積の中で、すべてを満たすのであれば、すべて(空間・素材など)がそれなりの中途半端な空間になってしまいます。
これだけは避けたいなと思っています。

トイレで一日いるわけでもなく、
玄関でくつろぐわけでもなく
収納部屋で居心地を感じるわけでもなく、
収納にゆとりがあれば精神的に満たされるわけでもない
泊まりに来る人のために新築するわけでもない

家族が集うキッチン、リビング、ダイニングの環境をよくすることがメインだと考える方がほとんどだと思います。

開放的な空間にしたい
居心地のいい空間にしたい
室内から自然が感じれるようにしたい

家族が見渡せるところで料理を作りたい
デッキが欲しい

そこに重点を置くことを考えると、他のことへの制約が緩ければ緩いほどLDKは満たされてきます。

設計プランをするにあたって、がちがちのご要望で、魔法をかけるかの如くいい空間にはできないと思っていて、

LDKのためにその他のスペースを最小限に満たす。
最小限という表現は誤解を生むかもしれませんが、収納するものやサイズ、部屋の中での必要寸法を聞き取り無駄なスペースを省くということです。

また、これを機に必要なものだけを残すようにしてもらっています。
収納スペースは大きければ大きいほどモノが増えるだけですのでホントに必要なものを置くようにしてほしいです。

収納に関して、
どうしても想い出のものを捨てられない
もらったものを捨てられない
モノを集めることが趣味である。

今までの例として、
嫁ぐ際にもらった親からの桐たんすを捨てることはできない。
ヒストリー性のあるものを集るのが趣味。

こういったことは皆さまの個性として大切にしてあげたいと思っていて、
私がしないといけないことは、メインの満たしたい空間と天秤にかけて落としどころを一緒に考えることかなと思っています。

玄関を大きくすれば、リビングがその分減る。
客間を設ければ、その分リビングが狭くなる。
極論に思えるかもしれませんが、実際は間違いなく影響しますので直結して、天秤に掛けてみるといいです。


今建設中の家も家族四人で延べ床面積が24坪です。
それでも、ぎゅうぎゅうの家かといえば、そうでもなく面積以上の広々とした快適な家になったなと思っています。(収納は少し少なめですがサイズ感が合ったものを細々造るようにしました。)

なぜ開放的な空間になったかというと、2階に花壇のあるバルコニーを配置したことが大きいと思います。(2階LDK)
必ずしもバルコニーがなくても暮らせますし、これは余のスペースです。

この部分に収納スペースをつくることも、部屋を一つ増やすことだってできました。しかし、この余裕のスペースこそ必要な空間だと思っています。

キッチン、リビング、ダイニングが両隣ぎりぎりにあったなら、精神的にも押し込められ快適には暮らせないのです。

バルコニーがあることによってキッチン、リビング、ダイニングが面積以上の開放的な空間へと変わるのです。

収納することを優先するかLDKから緑が見えて、両隣から少し解消されゆとりをもつか。

そのことに議論することなく、お施主さんと私は一致でゆとりある空間を選びました。

あとはそのスペースをとった残りのスペースでいかに集約させれるか。
寝室は3畳強、こども室も2つで10畳収納もWICL3畳になっているのが特徴だと思います。

大きさだけを見れば大丈夫?と思うかもしれませんが、置くものを想定し、シビヤな寸法取りをしたので、我慢して暮らすということには間違いなくなってないです。
キッチンにはパントリーもありますし、洗面脱衣所に乾燥機もあり、タオルや着替え、歯ブラシ類、洗濯道具などを置けるスペースも確保しました。

生活してもらう前からすべての収納物をしまえるスペースは想定内です。
密に打ち合わせし、具体的に落とし込んでいくことでホントに必要なスペース取りができるのだと思います。

ちょっと話はずれますが、
私も昔から服が好きで、何も考えず見た目のいいものを選んでいました。
「おしゃれは暑さ寒さ、着心地は我慢すること」って思っていた節もありました。

歳を重ねるにつれて、体力的に我慢をして着飾ることはできなくなり、
服を選ぶ基準が変わってきました。

着やすいもの、好みの色合い、扱いやすいもの、長持ちするもの、寒さ暑さをしのげるもの。

数があっても収納するめんどくささや結局、着る服って限られていることをもうこの歳では学習してますので、
できるだけ即戦力のものを満足できる服を買う。
数は少量にする代わりに肌触りのいい素材のものを選ぶ。

仕事時に体裁を気にしてスーツなんて着ないし買わない。現場で汚れるし、足場に気軽に登れない。スーツや革靴が汚れたらたちまち洗濯や手入れが大変。
ストレスを抱えることはしない。

そんな感じです。
これは家でも同じことで、年々自分なりの価値観のあるものだけでいいと思えるようになると思います。

皆さんもこの機会に自分の好みのものを置き、周りに気にすることなく密度の濃い家にしてほしいなと思います。

まとめると、
何かを足せば(足してるイメージがないと思うのですが)何かを減らすことを念頭に置いたり、何畳必要とざっくりではなく何を置いてどのくらいのスペースが必要か(これは設計士の仕事かな)など厳密にすることでゆとりある空間は得れるのではないかと思います。

それこそが、心にゆとりある生活への道筋かなと思います。



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