「この写真の土間は何を使ってるんですか」と
問い合わせがあったのでご紹介を。
これは三和土(タタキ)といってセメントがなかった時代に使われていた代表的な土間のひとつです。
今はあんまり見ることができないかもしれませんね。
昔の土間のあるお家は大抵これを使ってます。
なぜ「三和土」と書いてタタキなのかというと、土、石灰、にがり3つの素材を混ぜわせて締め固めるために何度も叩く(たたく)ことからきたらしいです。
「ほたるの家」の玄関のタタキの施工様子を少し撮ってみました。
ほんとに叩いてます(笑)
腕パンパンになるみたいですよ(笑)
「身近にある土を使って床を叩いて仕上げる」昔の人が考えた理にかなった工法ですね。
今は当たり前のように、コンクリートやアスファルトの土間になってますが、夏場のコンクリートを触ると火傷をしてしまうぐらい、熱いです。
その照り返しからくる熱で周囲を暑くしているのです。
土は必要以上に熱を吸収しないので、建物の周りにコンクリートで造った土間と比べると、確実に涼しいです。
ずいぶん昔の建物で、茅葺屋根、室内土間、囲炉裏などがある民家に見に行ったこと一回はあると思うのですが、室内が妙に涼しくなかったですか。
なぜひんやりしてるかといえば、土間のタタキの土が畜冷する影響が大きいです。(冬は蓄熱 土が熱容量が大きいため)
写真は日本最古の民家住宅と呼ばれている兵庫の重要文化財「箱木千年家」。
土間には当然のように三和土が使われてます。
夏の日射熱をどう遮断させるかによって夏の快適性はずいぶん変わってきます。
建物の断熱に着眼しがちですが、このように土を利用して日射熱を緩和させたり、畜冷、蓄熱させることで温熱環境はずいぶんよくなり省エネになるんです。
長所ゆえの短所もあります。
三和土の欠点として、セメントで固めた土間と比べると、柔らかいので、タイル床のように気軽にごしごしすると土がとれちゃいます。
まあ、それほどごしごしと磨くこともないような。
水は少々流しても問題ないので、汚れはとれますし、乾いたあとにホウキなどではけばキレイになります。
あとは、左官の土間なの表面に小さなひび割れは出てきます。
強度に問題があるひび割れではなくて、土の調湿によるものです。
「あじ」として自然を楽しむ、庭などでできるだけ土を残したいけど、雨天の時の水たまりや泥が跳ねて建物が汚れてしまうのがイヤという方にはお勧めです。
室内土間やアプローチにはこの三和土をお勧めすることが多いのですが、もう少し気軽に扱えて、自然の風合いが欲しいという場合は「玉砂利洗い出し」をお勧めしています。
事例
やっぱり土なので木、塗り壁と相性がいいです。