簡単に利用できる土壁 木摺り下地

今回、浜風が通る家(泉大津)では、昔ながらの貫をいれて、竹小舞に土を塗る土壁ではなく、普通の壁に珪藻土などを塗る感覚で、土を塗ることを試みました。

なぜ今回これを試みたか?

・部分的に土壁を利用してみたかった。
・コストを極力抑えたかった。
・大壁(柱が見えない)にしたかった

この三点です。
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従来の昔からある土壁は図にある通り柱の中に貫と言われる横材を通すことで壁の骨組を確保し、その貫にタテヨコ格子状の竹を編んで土を塗りこんで壁の耐力強度を得ています。

土壁の厚みが60mmあるため、調湿性、蓄熱性、防火性などの土の特性を最大限活かすことができます。

これが1番理想的な土壁ですが、
(図はほたるの家で採用した、従来の土壁に付加断熱をさせ、断熱性能を確保し、土の蓄熱・蓄冷の働きを最大限発揮できるようにしたものです。詳しい話は別のところで)
図が小さいので見たい方はpdf図面を貼り付けておきます。土壁の説明図

少し簡易的に土を利用してみよう、いつものボードに塗り壁を塗る感覚で、土をできるだけ厚く塗りたい。

今回、柱の上から厚さ10mm巾30mmくらいの木を竹小舞のように隙間を確保しながら格子状のものを作り、そこに土を塗ることを試みます。
じつはこのやり方は、昔の家でも大壁の壁などには利用された「木摺り(きずり)下地」とよばれるものです。

何回か塗り重ねながら30mmの土を塗ります。

通常の土壁よりも厚さは少ないですが、調湿性や蓄熱・蓄冷はある程度確保できます。
また貫工法ではありませんので、壁の耐力は土壁をあてにせず、通常の面材の耐力壁で確保しています。
断熱性能は通常どうり柱の中で確保できますので、簡単です。

今回は土壁を部分利用も他との取り合いも苦労せずに行えます。

手軽に土壁を利用して、夏の湿気・蓄冷、冬の蓄熱を利用してもらいたいなと思います。

また、施工する際に写真をお見せして説明します。