四日市の家では特徴のある塗り壁を室内・室外共に使いました。
今回は室内の壁についてすこしお話します。
室内にはいつもと同じく、中塗り土仕上げとしてます。
そもそも、中塗り土壁を使う理由として、
既調合された製品(水を混ぜるだけで塗れるもの)よりも昔ながらの左官屋さんが土や砂、藁などを混ぜて作る壁の方が個性的で好きなんです。
既調合されたものと左官屋さんが作るものとの違いは、
インスタントラーメンかラーメン屋のラーメンか ちょっと違うかな?
だしの素かかつおや昆布でだしを自らとるのか違い。
こっちのほうがしっくりいくかな。
料理と同じで、やっぱり仕上げ(味)はより手間をかけた方が深みがあるのと、職人さんによって混ぜる砂、スサの量大きさにより表情が変わってくる個性的なほかにない仕上がりになります。
さて、今回はボードの上に厚みは15mm、二回塗り。
切り返し仕上げというのは、中塗り壁を一回塗った後に乾燥させず水持ちがある状態で仕上げとして中塗り土をもう一度塗ることなのですが、
名前に由来は仕上げに混入する藁すさを何度も切り返して使うからという説と本来の行程を切り返してまま省いた仕上げという説とあるみたいです。
今回は、一般的な中塗り土を1回塗るところまでは同じなのですが、仕上げに伊勢の赤土を使いました。
いつもは緑かかっているのに対して、赤土は赤というよりもこげ茶であったかい印象です。
朝昼は日が射して優しい色合いになり、夜には落ち着いた雰囲気になりました。
この赤土も普段使ってる中塗り土もそうですが、土そのものの色であるために、メーカーの色見本のような色を選ぶことはできません。
色を選びたいという方には使えないですが、
この赤土や中塗り土は着色ではなく、土の色そのままですので自然な色として目に優しく飽きがこないです。
土の壁と無垢板が造るこの自然素材が作る空間は優しい空気が漂い、光が射した時の表情は格別です。
今回伊勢の赤土を使いましたが、篠山赤錆土や豊田赤土など色んな産地の土があり、使ってみたいです。
あと赤土だけでなく、白土、黄土、などいろんな表情の色土があります。
また、切り返し仕上げだけでなく、糊を入れたり水のみで仕上げる手法がありまたきめの細かい表情になります。
糊土仕上げ
角又など海藻のりを炊いてできた糊(のり)に色土と藁すさ、砂を混ぜて薄塗りしたもので、中塗りは主に下地材として利用された少し荒い仕上がりに対して、この糊土は昔から仕上げ材として使われてました。
水捏ね仕上げ
糊土はのりを使うのに対して、水捏ねはのりを一切使わず水と土、砂、スサだけで作った材で土壁でいう最高級仕上げです。
主に、数寄屋、茶室、高級料亭で利用されるもので、とても上品で繊細な表情です。
土の壁仕上げとして、じゅらくって言葉は馴染みあると思うのですが、
和室でよくみますよね。
じゅらくの由来は京都の聚楽第(じゅらくだい)で採取された土を使って、糊土仕上、水捏ね仕上げしたものの総称なんです。
メーカーさんでもじゅらく壁って製品があるのですが、あれは表情を似せて作ってるもので本物ではないんです。
偽物本物は私としては表情が良ければどちらでもいいのですが、やっぱり全然違うかなと思います。
今回見学会に来て頂けた方はなんとなく土の壁がもたらす空間の心地良さは感じてもらえたと思います。
私の家づくりのこだわりの一つです。
いかがですか。