昔からの手法「本漆喰」見学してきました。

昔ながらの漆喰(しっくい)、「本漆喰」を作って塗っているところがあると聞いたので、左官屋さんへ見学に行ってきました。

現在では、皆さんがよく目にする漆喰は「既調合漆喰」といって、配合されたものが商品としてあり、水を加え錬って塗るだけのものが多いです。
その中には合成樹脂や化学繊維などを利用した塗りやすいようになっているものもあります。
ですので、左官屋さんの経験からくる技術が継承しづらくなっています。

昔は、そういった既調合された商品はなく、職人さんが現場で調合し作っていたのです。
漆喰は石灰(消石灰)、すさ、ふのりを混ぜたもので、乾燥したフノリを焚いて、海草の糊を抽出して利用していました。

糊って硬化させるというより、左官では保水性のためにいれるものです。
現在、商品化されたものは、接着剤とかセメント系で保水と塗りやすさを確保してるものが多いかなと思います。

さてさて、実際にふのりを焚いて、漆喰を調合しているとこを見ることができました。
今回(私の現場ではないです)は色土として黄土を使って漆喰をつくるそうで、まずはふのりを焚く作業に。
海にいるようなにおいがしてました。次に焚いたものをこしてます。
液体状のふのりを紙すさの中に入れてます。
あとは、石灰、黄土を混ぜ出来上がりです。

なかなか、手間が掛ってます。

これを常にやっているのはすごいです。
クロスなどが主流になるに連れて、左官の壁の費用も下がってきたこともあり、できるだけ簡潔に手間をかけずに左官壁を利用するには、昔のようなことはできなくなっていくことは必然的なことかなと思いますが、この左官屋さんは自分で調合し作るといった職人技術の継承に力を注いでいます。

この一連の作業の手間は私たちやお施主様にはとても見えにくいところにも関わらず、取り組む姿勢は職人魂。
こういう仕事をみると、なんだかワクワクするのと、うれしく思います。

手間暇かけたこの漆喰は、耐久性と自然の風合いは商品化させたものとは全然違うみたいです。
従業員を10人も抱え、信念を貫き通す仕事ができてるのはほんとすごいなと思いました。

時代の流れで、家づくりは昔ほど手間をかけれなく、職人技術の見せ場が少なくなっていますが、
やはり人の技術は継承し、その職人しかできないものを持ち、やりがいを感じてほしいです。
私にできることは、活かせる場を造ることかなと思いましたし、私も昔ながらの和の設計の技術はしっかり学び、引き継ぎたいなと改めて思いました。

やはり、家も人が造るもの。その職人しかできない技術はプライスレスだなと思います。
また、一生住む家にとって、お施主様への還元も人の技術かなと思います。

家づくりをしている中で、より自然な素材を使いたいし、見た目にも技術がわかるものがいいと思うのはお施主様も同じだと思います。

職人のこだわりをより理解し、使っていくことでお施主さまへ引き出しのある提案ができ、還元できるのかなと思います。