大きくすることの罠

 

家づくりにおいて、

「長持ちする家」
「光熱費が少なく快適な家」
「メンテナンスがあまりかからない家」
「使いやすい家」

にしたいというのは皆が当然のように思うことです。
しかし、スタートラインで着地点を間違った方向に設定すると、どれも実現できなくなるのです。

では、間違った方向とは何か?
実は、その最たる例が、「大きい家にすること」なのです。

あなたは、家を可能な限り大きくしたいと思っていませんか?
「予算がふんだんにある」
「掃除も苦にならない」
「家の維持費もかけられるだけの充分な蓄えがある」
「日々の冷暖房費も高くなってもしかたない」
「将来子供が巣立った後、使わない部屋があっても問題ない」
「ものが溢れてる家でもいい」
というのであれば大きい家でもいいのですが・・・

イニシャルコストもランニングコストも大きな家ほどかかります。
基礎、床、内壁、外壁、天井、屋根すべては面積に依存します。
〇〇㎡×単価=金額になるので、家が大きくなればなるほど金額はかさみます。

皆さん、新築を計画する際はなぜか大きいスペースが欲しくなり、結局全体の面積は想像していたよりもはるかに大きくなってしまいます。
そうなれば、予算に限りがある以上、部屋に使う素材には無機質で安価な素材を使わざる負えなくなります。
結局どの空間も曖昧な空間になります。

残念なことに、この悪循環はとてもよくある話なのです。
さて、なぜ大きくしたくなるのでしょうか


大きい家にしたくなる三大要素

平面の間取りで空間を判断している

部屋の面積に対する固定概念は強固なものです。
間取りを考える際に、寝室は8帖、LDKは20帖、トイレは1帖など、それぞれ単体の部屋の面積を先に決め、パズルのように並べて考えてしまっていると自ずと全体は大きくなります。

なぜ10帖いるのか?
部屋をどのように使いたいか?
部屋に何を置くのか?

など、掘り下げて考えないと、いつの間にか大きくなってしまいます。

空間は二次元ではなく、立体的な広がり、つながり、明るさ、風、視覚、心理など
あらゆる要素が絡み合ってつくられるものです。
これらを念頭に置かず平面単体だけで決めてしまうと自ずと大きさに依存してしまうことになるのです。

現在の家がモノが溢れて収納スペースが少ないと考えている

整理整頓が上手で、モノをあまり持たない方は収納の大きさよりも用途に合った場所、出し入れのしやすさなどを気にされます。反面、家の中にモノが溢れている方は大きさに依存されます。

しかし、いくら収納を大きくしてもまたその分モノが増え、溢れかえって収拾がつかなくなることがほとんどです。
家を倉庫になってしまうのはとてももったいない話です。
新築やリフォームを機に思い切ってある程度モノを処分し、大切で長持ちするものだけにしてはいかがでしょうか。

私も整理整頓できないので、あまりモノを増やさず長く使えるものだけを置くように意識してます。

色々な「もしも」

この三つ目が一番家が大きくなる原因なのかなと思います。

もしも両親や親せき、友人が泊りにきたら・・・
もしも夜にトイレに行きたくなったら・・・
もしも車をもう一台増えたら・・・
もしもモノが増えたら・・・

このキリのない「もしも」のために部屋やスペースを設けたくなります。
自分たちが生活する空間が満足できるものになった上で、そのスペースを設けるのであればいいのですが、普段開かずの間になっているスペースは実に勿体ない。

今現在お住まいのマンションに客間はありますか?
客間は年に何回使いますか?
お子さんが巣立った後の子供部屋はどのように利用しますか?
客間を作ることによって、自分たちが生活するリビングが日当たりや居心地が悪かったら?

「もしも」のために備えることは、ともすると、生活の中に無駄を取り込むことに繋がります。
「もしも」がどのくらいの頻度であるかをしっかり見極め、不要な「もしも」は思い切って手放すことも、快適な家づくりにはとても大切なことなのです。

私はご家族が毎日利用するところに重点を置き、すべてのスペースを有効に効率よく使って頂ける空間をご提案しています。

最後に

家全体を効率の良い空間にする秘訣として、

こだわらない部分を多く見つけることです。

夢が膨らんでいる計画時には結構難しいことではあるのですが、予算に限りがある以上メリハリをしっかりつけて、こだわりたいところに力を注げるために、こだわりのない部分を探すことは大切なのです。

家族4人で24坪の家を以前設計しました。

開放的に暮らしてるみたいですので、また参考にしてください。
また、詳しくブログで紹介できたらと思いますが、とりあえず施工写真を見てください。