土壁のありのままの美しさを


土の質感が好きで、私たちはあえて土壁の「中塗り(なかぬり)」を、壁の最終的な仕上げとして使っています。

本来、日本の伝統的な土壁は、幾層にも塗り重ねて仕上げるもの。その工程にある「中塗り」は、本来なら表に出ることのない下地工程です。

しかし、漆喰を塗る前のこの姿を見たとき、ふと気づかされたのです。細かなスナとスサが混ざり合った繊維な表情、そして作為のない自然な凹凸感。これこそが土という素材の最も純粋な美しさではないか、と。

実際に仕上げとして採用してみると、そこにはとても豊かな空間が広がりました。

何よりお施主様からご好評頂くのは、その「陰影」と「質感」です。照明の光を優しく受け止め、壁面に生まれる柔らかな影。土そのものの色を活かし、一切の着色をしていないからこそ、どんな空間にもすんなりと馴染んでくれます。

決して主張しすぎず、年月が経っても飽きることがない。
そんな無垢な土の表情は、他の木材や自然素材とも静かに調和します。


tuchi
塗りたての頃は少し緑がかかった色をしていますが、一年ほどかけてゆっくりと乾き、やがて柔らかなベージュ色へと変化していきます。住み始めてからも、時間の経過とともに表情を変えていく。その移ろいもまた、この壁を選ぶ愉しみの一つです。

「土が落ちそう」というイメージがあるかもしれませんが、案外固く、日常生活で師匠が出ることはありません。伝統的な竹小舞を編む工法ではなく、現代の暮らしに合わせた下地の上に丁寧に塗り上げる手法をとっているため、今の住まいに気軽に本物の質感をプラスすることができます。


明るい白壁も素敵ですが、土の壁には心を深く落ち着かせてくれる力があります。
一日の終わりを過ごす寝室や、静かに語らいたいリビングに。

土の呼吸が聞こえてくるような、穏やかな空間をつくってみませんか。