「抜け」で広がりをつくる設計手法

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家を「広い」と感じるかどうかは、単に畳数や面積だけで決まるものではありません。大切なのは、視野がどこまで届くのか。

つまり「抜け」をどうつくるかです。

外部の空間を積極的に室内に取り入れることで、実際の面積以上のゆとりが生まれます。視野の先に「奥行」を感じさせる、私たちの設計の工夫をご紹介します。

視野の行き止まりを「抜け」に変える

例えば、西宮の家の事例ですが、
当初のプランでは、細長い玄関廊下の突き当りが「壁」になっており、ダイニングから玄関へ向かう際にどうしても圧迫感がありました。なので、

最初のプランは↓こちら。
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訂正した案が↓こちら。
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そこで、トイレの配置をわずかに変更し、廊下の行き着く先に「地窓」を設けました。
その先に小さな坪庭をつくることで、それまで壁で止まっていた視野が外へと抜け、アプローチ全体に劇的な広がりが生まれました。
ほんの数十センチの配置の差ですが、空間の質はがらりと変わります。

「絞り」と「開放」のコントラスト

この「抜け」の応用として、あえて空間を「絞る」手法をよく使います。

入口から目的地までの通り道を、あえて少し閉鎖的で静かな空間にする。その先の出口に、パッと明るい植栽や景色を配置する。すると、進むにつれて「この先に何があるだろう」という期待感は高まり、通り抜けた瞬間に、面積以上の圧倒的な爽快感を得ることができるのです。

大きな窓より、品のある「切り取り方」

開口部(窓)は、ただ大きければ良いというわけではありません。適度に「壁」を残し、景色を切り取るように設計することで、空間に品が生まれます。

たとえ狭小地であっても、小さな窓の先にわずかな下草を植えるだけで、そこはもう立派な庭になります。視野を外へと誘い出し、風景を室内に招き入れる。その「切り取り方」の工夫ひとつで、敷地の条件に関わらず、ゆとりある住まいは実現できます。

広がりは、面積の数字に依存するものではありません。「どこを抜き、どこを絞るか」という設計のちょっとした工夫が、暮らしに豊かな余白をもららしてくれます。