杉の赤身に惚れ込んで。

日本の家づくりにおいて、戦後から大切に育てられてきた「杉」は、切っても切れない存在です。使う木として、戦後に家づくりの資源して植林された杉がたくさんあり、比較的安価で素直な木なので構造材や下地材に杉はよく使っています。

しかし、私は杉を単なる「下地」としてではなく、暮らしに彩りを与える主役として考えています。

杉の「赤身」と「白太」

杉の丸太を横に切ると、中心部が赤っぽく、外側が白くなっているのが分かります。

・赤身(あかみ):木の中心部 樹脂分が多く、耐久性や調湿機能に優れている。
・白太(しらた):外側の白い部分。若々しく、強度がある。水分が多い。家一軒の中で一番杉が多く使われて


何も何も気にせずに木を切り出すと、この赤と白が混ざった「源平(げんぺい)」と呼ばれる状態になります。
それはそれで天然の木らしさがありますが、空間全体に納まった時の統一感や凛とした美しさを求めるなら、私は断然「赤身」を推しています。

なぜ「赤身」にこだわるのか

杉は産地や育て方、そして切り出し方(木取り)によって、性能も見た目も驚くほどかわります。
中でも「節がなく、目が通った(柾目)赤身」は宝石のように貴重な存在です。

これには理由があります。
木は成長する過程で枝を伸ばしますが、その枝の跡が「節」となります。
節は木の中心部に近いほど多く残り、外側へ成長するにつれて少なくなっていきます。

つまり、「中心部の赤身」でありながら「節がない」材を、さらに「柾目(真っすぐな木目)」で切り出すには、気の遠くなるような年月をかけて太く育った巨大な丸太が必要不可欠なのです。

かつて大工さんが長年寝かせて大切に保管していた「赤杉」を譲ってくれたことがありましたが、その緻密で美しい柾目は、まさに大径木ならではの芸術作品でした。

私もその切れ端を思わず持ち帰り、今でも自宅に飾っているほどです。

暮らしに取り入れる「赤身勝ち」という選択

良質な赤身は、まるでおしろいを塗ったような淡いピンク色をしており、独特の光沢があります。昔、赤杉で仕立てた「水屋」の写真を載せますが、その上品な色味を少しでも感じて頂ければ嬉しいです。

もちろん、すべてをこの希少な材で揃えるのはコスト委がかさみます。
そこで私は、「赤身勝ち(あかみがち)」という、赤身の割合が多くなるような選び方で家づくりに取り組む工夫をしています。

杉は空気をたっぷり含んでいるため、素足で触れると柔らかく、冬でもヒヤッとしない温かさがあります。
そこに赤身の美しさが加われば、経年変化とともにさらに深い味わいが出てきます。

「たかが杉、されど杉」。家づくりの際は、ぜひ杉の「色」や「育ち」にもこだわってみてください。
きっと、住むほどに愛着が湧く住まいになるはずです。