日本の林業の歴史、森林の現状
木材関係の人が書くとやらしくなるので、私のほうから。
日本は戦争に敗れ、昭和20年~30年代には、復興等のため、木材需要が急増しました。
というのも、その当時はガス、電気、石油といったものはなく、火を熾すのには木しかなかったのです。
しかし、戦争中の乱伐や自然災害等の理由で供給が十分に追いつかず、木材が不足し、高騰を続けていました。
このため、政府は急速に資源を使えるようにするため、焼け野原にスギやヒノキ、カラマツ、アカマツなど成長が比較的早く、経済的に価値の高い針葉樹を植えました。
その当時の家庭燃料は木炭や薪が中心で木は多く利用されましたが、後に電気・ガス・石油に大きく切り替わっていき、木炭や薪などのエネルギー源として利用されていた木材は、この燃料革命とともに、もはやエネルギー源としては時代に適さないと考えられるようになりました。
木は資源だけでなく、建築用材等にもたくさん使われ、スギやヒノキといった木材の需要は急激に伸びましが、、木材輸入の自由化が段階的にスタートし、昭和39年に木材輸入は全面自由化となりました。
国産材の価格が高騰する一方で外材(外国産の木材)の輸入が本格的に始まったのです。
外材は国産材と比べて安く、かつ大量のロットで安定的に供給(一度にまとまった量を)供給できるというメリットがあるため、需要が高まり、輸入量が 年々増大していきました。しかも、昭和50年代には、変動相場制になり、1ドル=360円の時代は終わました。その後、円高が進み、海外の製品がますます 入手しやすくなったのです。
これらの影響で、昭和55年頃をピークに国産材の価格は落ち続け、日本の林業経営は苦しくなっていきました。昭和30年には木材の自給率が9割以上であったものが、今では2割まで落ち込んでいます。
日本は国土面積の67%を森林が占める世界有数の森林大国ですが、供給されている木材の8割は外国からの輸入に頼っているといういびつな現状になっています。
そんなに木が有り余っているのになぜ輸入しなければいけないか?不思議に思いませんか?
現在、山を管理する費用も回収できず、林業はすっかり衰退してしまいました。
現在、日本の森林は充分な手入れがなされず、荒廃が目立つようになりました。
そもそも木を切ることが環境破壊だと思っている方多いと思います。
それは少し違うんですよ。
山は育てないと育ちません。
育てるということは、人が手を入れてやる必要があるのです。
そのためにも、木を燃料や家などに使ってあげないといけないのです。
そして、その切った場所に新しい芽を植えて、育てていくのです。
森林を伐採し、植えて、育てる、そして伐採するというサイクルを回すためには、国産材を積極的に利用し、需要を高め、資金を山に還元する必要があります。
人と同じで、木もいい環境のなかで、手間暇かけて育ててあげなければいけないのです。
山は産業してだけでなく、台風等の被害や土砂災害をせきとめてくれます。
以前にも話しましたが、二酸化炭素を吸収し、酸素を供給してくれます。
山は私たちが生きる上で、欠かせないものなのです。
林業で働く人たちは危険な仕事にも関わらず、「仕事」してのくくりに留まらず、日本の国の責務として取り組んでいるのです。
みなさん、危険を顧みず、責務として取り組めますか?
なかなかできることではないと私は思います。
かといって、みなさんに同情で国産の木を使ってもらいたいという訳ではありません。
これらは林業、そして家を扱う建築士、工務店の責務だと思います。
そのあたりは長くなりそうなので、次回に。
ちょっと主観的で感情的な文章になってしまいましたが、書きなおす体力残っていませんので、勘弁して下さい。